映画「逆火(ぎゃっか)」に北村有起哉さんが主演する。制作現場で葛藤する助監督役を務めている。観客には「主人公と一緒にモヤモヤしてほしい」と語る。
ネット社会に対する危機感が、そう思う背景にあるという。
「大戦直後も高度成長期も、バブルが崩壊した時も、世の中はめまぐるしかったのかもしれない。けれどネットに支配される前は、今よりのんびりしていた気がするんです」
北村さんは、情報が瞬く間に広がり、人々の怒りが急速にあおられるこの社会に、今作が一石を投じるかもしれないと期待している。
ストーリーは一見、ネット社会とは関係がない。演じる主人公の助監督、野島は、ヤングケアラーの自伝小説を原作とする映画の制作に携わる。しかし野島はクランクイン直前に、原作が虚偽だらけだと知る。真実を知るために、ひとりで原作者や関係者たちを訪ねて回る。
「スタッフたちの生活のためにも、制作は止められない。なのに彼は『このままでいいのか』と取材を続ける。よせば良いのにね。でも応援したくなる」
「ださいよね。バカじゃねえの、と」
野島は妻や娘の前では、背筋…