真夏日となった8月1日、札幌市の大通公園では日傘を差す人の姿がみられた=札幌市中央区

 全国的にこれまでになく暑かった6~8月、北海道でも一部地域で40度に迫る日があり、酷暑に見舞われた。避暑地として知られる北の大地でも、冷房は必須になりつつある。

  • 今年の夏、史上最も暑かった 気温の平年比+2.36度 世界も猛暑

「命と安全を守るため」冷房を購入

 道東部、北見市留辺蘂(るべしべ)町の温泉宿「癒恵(ゆけい)の宿 一羽のすずめ」は8月に急きょ、一部の客室や食堂に冷房を取り付けた。「今年は湿気がすごい。これが来年も続くと思うと、冷房なしでは無理」。代表の山梨深雪さん(65)は、そう決断した。

 これまでは扇風機で乗り切っていた。最高気温が30度以上の真夏日でも、夜間は20度ほどまで下がっていた。翌年も暑くなるかわからないからと、冷房の購入は思いとどまっていた。

 ところが今年、留辺蘂町では7月24日に過去最高となる37.6度を観測するなど、35度以上の猛暑日が計3日に。宿の近くでの仕事のために滞在していた宿泊者が、仕事先で熱中症になってしまい、静養のため冷房がある宿に移ったことがあった。

 「お客さんの命と安全を守るためにも必要だった」と山梨さん。取り付け業者の予約が取れず設置に2週間ほどかかったが、今は従業員も含めて快適に過ごせているという。

道民の冷房保有率は59%

 気象情報会社ウェザーニューズが7月に1万人以上のアプリ利用者を対象にしたアンケートによると、道民の冷房保有率は59%。4年前の42%より17ポイント上がったが、依然、全国平均の94.4%を大きく下回る。

 札幌市の最高気温は7~8月の平年値で25~26度程度。これまでは冷房がなくても生活できたが、今年は道内各地で40度近くまで気温が上昇した日があるなど、日本の他の地域と大差ない暑さを記録した。

冷房利用で夏場の死者減らせる

 国立環境研究所の岡和孝・気…

共有
Exit mobile version