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360度で地平線が見えるとうたう高台の育成牧場でたたずむ牛=2024年10月6日午後4時37分、北海道標茶町、角野貴之撮影
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 冬の訪れを前に、北海道では10月から牛の放牧が終盤に入っている。道東の標茶町育成牧場では、22日から順次「牛舎暮らし」に移る牛たちが、空との別れを惜しむように、坂の上に立ち、草をはんでいた。

 各地の酪農地域には、市町村や農協による公共牧場がある。小さな酪農家が乳搾りなどに集中できるよう、おとなになりきれていない「育成牛」を預かり、育てる。農林水産省の資料では、2022年度の運営数は全国682牧場とされている。

 標茶町育成牧場では、約2100頭の牛が春から東京都港区をすっぽり収める2128ヘクタールの敷地で過ごした。約5カ月間、「360度地平線」とうたう高台を抱えた丘陵地で、坂を上り下りした。5日に開通した北海道東トレイルのルートでもあり、地場産食材レストランやキャンプ場もある。

 平地の牧場では得られない心肺と足腰の強さを身につけ、零下20度にもなる極寒の冬、出産や搾乳に臨んでいく。(角野貴之)

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