登別温泉の観光名所、地獄谷=登別市

 温泉が恋しい季節がやってきた。登別、阿寒湖、別府、伊東……全国の温泉地で近年、宿泊客に標準税率で1日150円が課される「入湯税」の税率を上げる動きが広がっている。条例の改定で決められ、新税の導入よりハードルが低いからだ。訪日外国人客(インバウンド)対策や湧出(ゆうしゅつ)量の減少に悩む自治体は少なくなく、さらに広がる可能性もある。

 入湯税は戦後まもなく地方税法で創設された。使い道はもともと鉱泉源の維持管理や浴場・消防関連施設の整備に限定されていたが、平成に入り観光振興が加わった。経営体力に乏しい小規模な温泉宿が多いため、多くの市町村は税率の引き上げには慎重だったが、最近は風向きが変わってきた。

 温泉地の数が全国一の北海道。道内179市町村の2022年度決算を調べたところ、入湯税収が5千万円を超えたのは9市町で、このうち6市町が税率を上げていた。15年に道内で初めて税率を上げたのは、阿寒湖温泉を抱える釧路市。同温泉の一部ホテル・旅館の宿泊で250円に増やした。

 宿泊事業者らの「滞在日数を伸ばすために魅力を高めたい」との要望がきっかけ。市は新たな法定外目的税の導入を検討したが総務省が認めず、入湯税を引き上げた。ただし、阿寒湖温泉以外の温泉は150円で据え置く軽減措置も設けた。引き上げ分は廃業したホテル跡地の駐車場建設やWi―Fiの整備などに使っている。市は税率を300円に引き上げて恒久化する方針で、近く条例改正案を提案する。

 20年度に標準税率をそろっ…

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