札幌に赴任して3度目の夏を迎えた。道外出身なので夏の涼しさを楽しみにしているが、「本州と変わらないな」と思うような暑い日もそれなりにあり、もはや札幌でもエアコンなしの生活は厳しいだろうと感じる。
最近は冬もエアコンだけで暖房する住宅が道内で増えている。最新の住宅事情を取材し、「進化する北の住まい」のタイトルで連載した。もともと道内の住宅は全国で一番暖かいが、その断熱性能はさらに進化している。住宅の省エネ化は光熱費の削減や脱炭素社会の実現にもつながるため、今後ますます重要になると感じた。
道内の光熱費は高い。とりわけ電気料金は全国最高水準だ。火力発電の比率が高く、化石燃料高騰の影響をもろに受けているからだ。そのなかで可能性を感じたのが、太陽光や風力などの再生可能エネルギーの「安さ」だ。
導入コストが下がり、いまや電力会社から高い電気を買うよりも、自宅の屋根に太陽光パネルを載せてその電気を使う方が得になった。太陽光はかつて10年間売電して初期費用を回収していたが、今では数年で元が取れる。
工場や店舗に太陽光パネルを設置して電気を自ら使う企業も多い。石狩市や苫前町など、地元の風力発電で作った電気を公共施設で使い、電気代の削減につなげる自治体も出始めた。
再エネは燃料代がかからないため、初期費用さえ抑えられれば、ぐっと安くなる。もちろん発電量は天候に左右されるため、バックアップとなる発電所や蓄電池は必要だ。ただ、相対的に安い電源になりつつあるのは確かだ。
道内では再エネの発電所が急増しているが、これまでは立地地域にあまり恩恵をもたらしていなかった。今後、再エネを「地産地消」する取り組みが広がれば、地域も再エネの経済メリットを実感しやすくなりそうだ。