政府の検討が進む高校授業料の無償化で、北海道内でも進路希望を公立から私立に変える動きが強まっている。道教育委員会のアンケートで明らかになった。公立の志願者が急減する可能性があることから、道教委は早急な対策が必要だとして各校と協議を始める。

 アンケートは今春、中学生とその保護者を対象に実施した。公立志望から私立に変えたと答えた人の割合は、中学生で14.9%、保護者で21.6%にのぼった。

中学生の高校進路希望の変化

 なかでも中学生の回答を通学区域別にみると、私立が多い石狩が25.1%、渡島が19.6%、胆振東が17.5%と高かった。

 私立がない区域でも、「自宅から通学可能な公立」から「下宿や寮などに転居が必要な私立」へ変える中学生が一定の割合で広がっている。

 私立の定員が大きく増えるわけではなく、倍率など各区域の状況にもよるので、実際の志願者がどれだけ流れるのかは予測がつかない。だが、道教委高校改革推進室は「進路動向が変わり、公立への進学が減る可能性がある」とみている。動きが強まれば、学級数や配置教員を減らす対応もいずれ必要になる。

 授業料は今年度、すべての高校生への年間11万8800円までの支援について所得制限が撤廃された。来年度は私立に通う生徒への支援金の加算額の上限を、いまの年間39万6千円から45万7千円に引き上げたうえで所得制限も撤廃する方向で議論されている。

 このため、道教委は「スピード感をもった対応が必要」として各校に対応を促す。まずは、中学生に向けたPRの強化などできることから手を着けていく方針だ。

 アンケートの回答率(中学生)は15.8%。道教委が国の政策変更を受けて調査するのは初めてだった。

道教委が呼びかけた高校授業料無償化に関するアンケート

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