北陸初の公立夜間中学となる「石川県立あすなろ中学校」(金沢市泉本町6丁目)が7日に開校し、10~70代の22人が学びの門をくぐった。入学式で新入生代表の1人が「一度は何かを諦めてしまった人も、いま何かに打ち込んでいる人も、全員がともに支えあい、学んでいければと思います」とあいさつした。
夜間中学では、様々な事情で義務教育を修了できなかった人や不登校だった人、外国人らが学ぶ。2016年に成立した「教育機会確保法」で法的に位置づけられ、国は全都道府県と政令指定都市に1校以上の設置をめざしている。
あすなろ中は、県立金沢中央高校の校舎の一部を改修してつくられた。教室のほかに生徒の交流スペースを設け、バリアフリーにも配慮。習熟度別の3コースと日本語習得に重点を置いたコースの計4コースを用意。どの学年からでも学習を始められる。
この日は、午後6時からあすなろ中の玄関で校名板の除幕式があり、開校式、入学式が行われた。
入学式では、上田綾子校長が「皆さんの年齢や国籍、これまでの状況は様々ですが、『学びたい』という気持ちはみな同じ。自分のペースで、安心して学び、充実した学校生活を送ってほしい」と述べた。
続いて新入生代表の2人があいさつ。3年生の男性は、中学に行かなくなったまま卒業し、やりたいことを模索したがうまくいかなかったと話した。「このままではいけないと思い、親から紹介されたあすなろ中学校に入学しました」
2年生の女性は「中学時代の思い出と言いますと、『たられば』です。『もし〇〇していたら……。もし〇〇していれば……』。一言で言えば『後悔』」と語った。もやもやを抱えながら過ごす中、同校のパンフレットを見て「もう一度中学時代をやり直したい」「今まであきらめてきた勉強をしたい」と思い、入学を決めたという。
「いろんな年齢の方がいて、一緒に机を並べて勉強できる楽しみ。その人その人の考え方、生き方。教科書に載っていないことを知るのも楽しみです。目標は全学年の人と仲良くなることです」と話し、新たな一歩を踏み出した。