大阪・ミナミの道頓堀川にかかる戎橋。夜は、まばゆいネオンに照らされ、グリコの看板前で記念写真を撮ろうとする観光客でごった返す。
その橋の下の周辺が、居場所のない若者が集う「グリ下」だ。
早朝、中沢駿さん(23)が、「グリ下」でたむろする若者たちに柔らかい口調で「おはよう」と声をかけた。若者たちが、一斉に警戒の表情を浮かべる。
「グリ下」に集まる若者の多くが、大人を信じていない。それを知る中沢さんは、続けた。
「俺も少し前までここにいたんだけど、最近のグリ下ってどんな感じ?」
自分たちの「仲間」だと知り、若者らがようやく口を開いた。
中沢さんは昨夏から、早朝の「グリ下」で若者に声かけを始めた。夜の方が人数は多いが、「本当に帰る場所のない子」は早朝に多いと知っている。2年前まで、自分自身がここにいたからだ。
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