生徒を前にガザ地区の実情を語る安藤恒平医師=2024年10月4日午後1時54分、さいたま市南区の市立浦和南高校、岩堀滋撮影

 パレスチナ自治区ガザでイスラエルとイスラム組織ハマスの武力の応酬が止まらない中、現状を知って何が出来るのかを考えるトークセッションが4日、さいたま市南区の市立浦和南高校であった。赤十字国際委員会(ICRC)の派遣で現地の病院に勤務した安藤恒平医師(46)が状況を報告し、生徒からの質疑に応じた。

 安藤医師は昨年12月から先月までに計4回、ガザ地区南部のラファ検問所近くの病院で主に整形外科医として勤務。この日は3年生33人の生徒たちに、住む場所を失った住民が少しでも安全な病院の廊下で寝泊まりする姿や、空爆などの影響で変わり果てた街並み、治療の様子などを写真を交えながら報告した。

 8月上旬からの1カ月間の滞在中には開放骨折した6歳のある男の子を治療したが、家族全員が亡くなり、話しかけても無言で、精神面での影響が今も気になっているという。治療中には腹に響く爆発音が聞こえ、窓から黒煙が立ち上る様子が見えたことや、空気を切り裂くような何らかの物体が通過する音を聞いたことなども伝えた。

 生徒からの「なぜ医師を続けるのか」との問いかけに、安藤医師は「(過酷な状況下でも)治療に専念するという共通目標で、ほかの多くの医師と連携して取り組むことにやりがいを感じるから」などと答えた。

 3年の伊藤いちごさん(17)が「ガザ地区の状況に胸が締め付けられ、涙を浮かべそうになった。現地の人たちのためにこうした活動を重ねているのはすごいこと」と話し、「現状を多くの人に伝えることで認知が広がり、支援も広がると思う」と、代表して感想を述べた。(岩堀滋)

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