医師の当直業務で一定の条件を満たせば労働時間としてカウントしない「宿日直許可」を取得した病院が、茨城県内で急増していることが県の調査でわかった。時間外労働を少なくすることで、夜間や休日の医療体制を維持する狙いとみられる。ただ、急患対応が多忙でほとんど寝られていなくても、見かけ上は労働時間が少なくなる「隠れ宿日直」が懸念されている。
今年度から「医師の働き方改革」で勤務医の時間外労働の上限が原則年960時間となっている。病院では夜間や休日でも、入院患者の急変や外来患者に対応するため、医師が当番制で待機する。宿日直許可は、業務が軽微であることや夜間に十分睡眠が取れることを条件に、医師の当直業務を休息時間として扱い、労働時間とみなさない制度。病院が労働基準監督署に申請し、許可を受ける。
県が今年3月に県内全171病院に調査したところ、宿日直許可を得たのは128病院で全体の75%近く。2022年8月に調査した際は71病院が回答し、許可を得たのは18病院で、25%にとどまっていた。(富永鈴香)