地方や一部の診療科で医師が不足している偏在問題を解消するため、武見敬三厚生労働相は15日、規制の導入も視野に入れ、年末までに具体策をまとめる方針を示した。強制的な手法は厚労省内にも慎重論が強いが、武見氏は検討チームの設置を指示した。
この日の衆院決算行政監視委員会で、武見氏は「単に医師の増員によって医師不足が解消できるかといったら、そうではなかった」と説明。「規制を含めて、前例にとらわれない方法で問題を解決する政治的リーダーシップが必要」と述べた。
政府が毎年6月にとりまとめる「骨太の方針」に大きな方向性を盛り込む。今年3月に新たに立ち上げた地域医療に関する有識者検討会でも議論を進め、「年末までに具体的なものをつくらせる」と明らかにした。
医師偏在をめぐってはこれまでも、医学部の定員に地域枠を設けたり、医師の研修制度で都道府県ごとに人数を割り当てたりする対策が試みられてきた。2022年までの10年で医師は4万人増えたが、都市部に集中し、解消につながっていない。
ただ、強制的な手法には日本医師会などの反発が予想され、省内に慎重な意見も根強い。どこまで規制に踏み込むのかは不透明だ。
武見氏は7日に放送されたNHKの討論番組で「医師の偏在を規制によって管理しなければならない段階に入ってきた」と発言。地域ごとに医師数を決め、割り当てる手法に言及していた。(藤谷和広)