高齢化による影響の範囲のみで増やしてきた社会保障費について、政府は来年度の予算編成で、物価高や賃金上昇への対応分も増やす方針を固めた。13日にも閣議決定する「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に盛り込む。社会保障費の削減努力は続けつつ、医療や介護の厳しい現状を踏まえ、基本方針を変える。
財政健全化を掲げる政府は、これまで社会保障費の伸びについて「高齢化による増加分に相当する伸びにおさめる」との基準を示してきた。
そのため、近年の物価高騰の中でも、公定価格になっている診療報酬や介護報酬の引き上げは抑えられ、医療や介護などの業界は苦しい経営状況に陥っている。日本病院会など6団体が1~2月に実施した調査では、昨年6~11月に赤字だった病院は61%を占めた。医療従事者らの賃上げも、他業界に大きく遅れている。
こうした状況をふまえ、政府…