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人工呼吸器を着け、医療的ケアを受ける2歳の女の子=北九州市八幡東区、母親提供

 「医療的ケア児」を支援する無償の訪問看護の利用時間について、福岡市が年間48時間から約7倍に拡充する。子どものケアのために睡眠を削ったり仕事を休んだりする親からは歓迎の声があがる。一方で、支援の「地域格差」を懸念する声もある。

 福岡市によると、対象は在宅で24時間、人工呼吸器を利用する医療的ケア児。これまで市は、こうした医療的ケア児について年間48時間を上限に訪問看護を無償提供していた。

 医療的ケアをめぐっては、今年1月、7歳(当時)の長女の人工呼吸器を外して死亡させたとして、福岡市の40代の母親が逮捕・起訴された。事件を受けて、家族の負担軽減のため利用時間の上限を8月から年間338時間に拡充する方針。相談体制の強化も図る。6月の市議会で関連事業費を盛り込んだ補正予算案約9400万円が可決された。

 高島宗一郎市長は9日の会見で「母親だけに責任を負わせていいのか。社会全体で背負っていくべきものではないか」と述べた。

市外の親「うらやましい」 身を削って、削るところない

 「すごく英断。思い切って、やってくださった」。医療的ケア児・者らを支援する認定NPO法人「ニコちゃんの会」(福岡市城南区)の森山淳子代表(59)は、市の決定を評価する。

 森山さんによると、寝返りを打てない子どものために夜間2時間ごとに起きたり、たんの吸引作業をしたりする保護者は多い。そのため、睡眠不足が深刻な課題となっている。

 無償の訪問看護の利用上限が…

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