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 日常的にたんの吸引や、管から胃に直接栄養を入れる胃ろうなどが必要な医療的ケア児がいる学校や幼稚園の3割近くが、災害時の医療器具や非常食などの備えについて保護者や医師らと取り決めていないことが分かった。

 文部科学省が16日、学校の医療的ケアに関する調査結果(2024年度)を公表した。例年と違い、今回初めて災害時の備えについても調べた。

 調査結果によると、医療的ケア児は、特別支援学校724校に8700人、幼稚園や小中高校2219校・園に2559人が在籍していた。特別支援学校の人数は8千人台で推移しているが、幼稚園や小中高校の人数は、この6年間で2倍以上に増えていた。

 災害時を想定した医療器具や非常食の備蓄などについて、保護者や主治医らと話し合って決めていたのは、医療的ケア児が在籍する特別支援学校の74.4%、幼稚園や小中高校の72.2%だった。学校・園で待機が長引いた場合に関しては、それぞれ40.9%、54.4%と半数程度だった。

 25年度までに決めるという回答もあったが、約1割は「決める予定がない」と答えた。文科省は「不十分な状況」とし、各教委が作る医療的ケア児受け入れのガイドラインに入れるよう徹底を促すという。

通級指導を受ける子、初の20万人超え

 また、発達障害など学習や学校生活に困難を抱え、通常学級に在籍しながら別の教室で学ぶ「通級指導」を受ける小中高生が、2023年度は20万3376人だったことも公表された(前年度比5033人増)。直近3年で1.2倍に増え、初めて20万人を超えた。6割以上が発達障害の子どもだった。

 通級指導ではこれまで、困難の改善や克服のための指導が行われてきたが、文科省は個々の状態に応じたきめ細かな対応が必要とし、次期学習指導要領では各教科の指導も行えるようにする方針を示している。

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