大分県国東市の神職らが船で山口県上関町の祝島に渡り、神楽を奉納する伝統行事「神舞(かんまい)」が16日、始まった。4年に1度催されてきたが、コロナ禍での中止を経て今回は8年ぶり。
神職や神楽の舞い手を乗せた御座船を祝島の港に迎える「入船神事」で、先導する島民らの手こぎ船が「ホーランエー」のかけ声を上げて進み、若者が船首と船尾で勇壮な舞を披露すると岸壁から拍手が起きた。山口県下関市から訪れた女性(60)は「8年ぶりで伝承が大変だったと思う。長く続けてほしい」と話した。最終日の18日にかけて神楽が奉納される。
886年、豊後国伊美郷(現在の国東市国見町伊美)に戻る船が嵐で祝島に漂着。島民のもてなしの返礼に五穀の種を分け、農耕技術を教えたのが行事の起こりで、千年以上の歴史があるとされる。(鈴木史)