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瀬戸内寂聴さんとの思い出を語る千玄室さん=2022年10月、京都市上京区、筋野健太撮影

 茶道を通じた国際交流に力を注ぎ、世界平和の大切さを訴えてきた裏千家15代家元の千玄室(せん・げんしつ)さんが14日、死去した。102歳だった。

 関東大震災のあった1923年、14代家元の長男として京都市で生まれた。第2次世界大戦では、同志社大学から学徒出陣で海軍に入隊。特攻隊員となったが、出撃することなく終戦を迎えた。

 49年、千家の菩提寺の大徳寺(京都市北区)で得度。50年に次期家元・若宗匠となり、米国各地を訪れて茶道を紹介する活動を始めた。14代の死去により64年に15代千宗室を襲名、2002年に家元を長男に譲って隠居名の千玄室に改名した。

 86年に京都を訪れた英国のチャールズ皇太子(当時)とダイアナ妃にお茶を出すなど、茶道外交に尽力する一方で、「一盌からピースフルネスを」という言葉を掲げ、和を重んじる「茶の湯」を通じた国際交流や平和活動をライフワークとした。

 バチカン市国や、米ニューヨークの国連本部、ワシントンの米国上下両院議会などで平和を祈る献茶式を行い、100歳になった23年6月にもオーストラリアのシドニーで献茶式を開くなど、訪れた国は70カ国以上だった。

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