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生態園の舟田池にアオサギ(奥)とカイツブリ(手前)がいた=2025年4月、千葉市中央区、いずれも松村北斗撮影
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 千葉県立中央博物館(千葉市中央区)の「生態園」は、千葉県・房総の代表的な木や草を植え、ゼロから生態系をつくったユニークな野外展示施設だ。国内初の「エコロジーパーク」として開園から35年以上が経ち、都市部にありながら多くの動植物が見られる生物多様性が豊かな森林に成長してきた。歴代の研究員の観察と維持管理が、それを支えている。

 約6.6ヘクタールの敷地に、房総の海岸の植生、冬でも葉が落ちない常緑広葉樹林、モミ林といった「南部の自然」と、イヌシデやコナラなどからなる落葉広葉樹林や、マダケ林、草地といった「北部の自然」が場所ごとに再現され、江戸時代からある元ため池の「舟田池」が自然観察用に活用されている。

 常緑広葉樹林の一部には、同県鴨川市の森林を土や草ごと移植した「森林移植地」という区域がある。開発でなくなる予定だった森から、まず土を運び込み、そこにスダジイやアラカシといった現地に生えていた木々や草を植えた。枯れた木も多かったが、移植した植物が成長したり、土の中で眠っていた種子から芽生えた木が育ったりしている。

 「鴨川の森に生えていた木や草の場所をすべて記録して、その場所の通りに植えた。すごい労力をかけた作業だったと思います」。7年間生態園の担当を務めている研究員の西内李佳さんは話した。

 生態園は1989年、博物館本館の開館と同時に一部が開園、追加整備をへて95年に全面開園した。「エコロジーパーク」とは、そこにいる全ての生きものと、それらの関わり合い(生態系)を展示物と考える野外観察地のことだ。中央博物館の初代館長で著名な生態学者の沼田真氏(故人)は「生態園の設置はかねての夢だった。博物館の半分は野外博物館としての生態園にして、生きた自然に接することができるようにしたいと考えてきた」と、かつて思いを記している。

 西内さんは「都市部にありな…

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