現場へ! デフリンピックが来る(4)
東京都庁から「デフリンピック準備運営本部」に出向している石井正俊(39)は、机越しに向き合ったアシックスの社員に向けて笑顔で語り始めた。
「(準備運営本部の)メンバー内でウェアの色の打ち合わせをした時も、みんな『かっこいい』『かっこいい』と言っていて大好評だったんです」
昨年12月、石井ら職員4人は、東京都江東区にあるアシックス本社ビルにいた。今年11月に東京を中心に開かれる聴覚障害者の国際スポーツ大会「デフリンピック」への協賛契約に向けた詰めの協議をするためだった。
石井は会話のきっかけにと、別の大会でスタッフらが着用した同社製のウェアを身にまとって臨み、和やかな空気づくりにも努めた。
この日はボランティアや手話通訳者らが大会中に着るウェアの色について議論。納品の時期などを確認し、約1時間の話し合いを終えた。
日本で初めて開催されるデフリンピックでは、約130億円の大会経費のうち、都が100億円、国が20億円を負担する見込み。残り10億円をまかなう鍵となるのが、スポンサー集めだ。
大規模な大会では、様々な業界へのコネクションがある広告会社に一任するのがスポーツ界の慣例だった。だが、東京オリンピック(五輪)・パラリンピックを巡る汚職・談合事件の影響で、社会から向けられる目は厳しくなった。
知ってもらう機会にも
9月に東京で開かれる陸上の…