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南シナ海のスカボロー礁付近で、フィリピン漁船(手前)を監視するように停泊する中国海警局の船=2016年12月13日、矢木隆晴撮影
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 南シナ海のスカボロー礁の領有権をめぐり、フィリピンと中国の間に新たな火種が浮上している。フィリピンでは8日、周辺海域の権利を明確化した新法が成立。中国側は10日、領海の設定基準となる「基線」を同礁に設定したと発表し、対抗姿勢を強めている。

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 スカボロー礁はフィリピン・ルソン島の西約230キロに位置し、フィリピンで「バホ・デ・マシンロック」、中国では「黄岩島」と呼ばれる。台湾とフィリピンの間のバシー海峡をうかがう、戦略的に重要な地点にある。

 フィリピンの排他的経済水域(EEZ)内にあるが、中国が実効支配し、フィリピン船の航行をたびたび妨害。8月には、上空で中国軍機が比航空機に対し、フレアと呼ばれる熱源を発射するなど、危険な事態も起きている。

双方の主張は

 フィリピンでは8日、マルコス大統領が新たな「海域法」に署名した。同法は、国連海洋法条約や中国の権利を否定した国際判決に従い、領海や接続水域、EEZ、延長大陸棚など、自国の権利が及ぶ範囲を明記した。スカボロー礁を含め、南シナ海の主権や海洋権益を国際社会に改めて宣言する狙いがある。

 一方、中国政府は10日、「基線」を発表した。国営メディアでは、基線の範囲を示した図も報じられている。

 南シナ海のほぼ全域の管轄権を持つと主張する中国だが、争いのある地域について詳細に基線を公表することは「問題の拡大を防ぐために、慎重だった」(中国メディア)とされる。フィリピン側の動きに対抗して公表する措置をとった、とする論法だ。

 中国は今回のフィリピン側の動きを強く批判しており、中国外務省はフィリピンの駐中国大使を呼び出して厳正に抗議したとしている。10日には中国海警局も声明を出し、「中国固有の領土」だとして、フィリピン側が中国の主権を侵害する形で挑発を繰り返していると訴えた。

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