南海トラフでは、過去に100~200年ほどの間隔で巨大地震を繰り返してきた。プレートの沈み込みで起こる巨大地震で、いつ起こるかは分からなくても、いつか起こることは確実といえる。
- 死者29万人超、全壊235万棟 南海トラフ地震で新たな被害想定
これまでに知られる最短の間隔は90年。すでに前回から80年近くが過ぎている。
国を挙げて対策に取り組むのは、その被害が甚大であるためだ。
大阪や名古屋をはじめ、西日本の太平洋側には人や物が集中している。震源域が陸寄りにあるため、揺れが激しい地域が多く、数分で津波が襲う場所もある。周辺からの支援は望めず、生産や物流も大きな打撃を受けて、影響は全国に及ぶ。
頭に置いておきたいのは、死者29万人といった数字はあくまで最大級、マグニチュード(M)9.1のケースであることだ。
国の地震調査研究推進本部の長期評価によると、過去数千年の間に南海トラフでM9級の地震が起きた記録は今のところ見つかっていない。歴史上知られているのは、過去1400年間で9回。いずれもM8級とみられている。
「30年以内に80%程度」…