南海トラフでは、過去に100~200年ほどの間隔で巨大地震を繰り返してきた。プレートの沈み込みで起こる巨大地震で、いつ起こるかは分からなくても、いつか起こることは確実といえる。

南海トラフ地震の津波に備え、公共施設が移転した和歌山県串本町の高台(手前)。津波の浸水域に旧来の市街地が広がる=2018年、朝日新聞社ヘリから
  • 死者29万人超、全壊235万棟 南海トラフ地震で新たな被害想定

 これまでに知られる最短の間隔は90年。すでに前回から80年近くが過ぎている。

 国を挙げて対策に取り組むのは、その被害が甚大であるためだ。

 大阪や名古屋をはじめ、西日本の太平洋側には人や物が集中している。震源域が陸寄りにあるため、揺れが激しい地域が多く、数分で津波が襲う場所もある。周辺からの支援は望めず、生産や物流も大きな打撃を受けて、影響は全国に及ぶ。

 頭に置いておきたいのは、死者29万人といった数字はあくまで最大級、マグニチュード(M)9.1のケースであることだ。

 国の地震調査研究推進本部の長期評価によると、過去数千年の間に南海トラフでM9級の地震が起きた記録は今のところ見つかっていない。歴史上知られているのは、過去1400年間で9回。いずれもM8級とみられている。

 「30年以内に80%程度」…

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