南陽工の阿部和希投手=2025年7月27日午前11時13分、山口マツダ西京きずなスタジアム、大室一也撮影

(27日、第107回全国高校野球選手権山口大会決勝 高川学園10―3南陽工)

 一回表。南陽工のエース阿部和希投手(3年)は先頭打者に2ボール、2ストライクから粘られた。五つのファウルの後、11球目が四球に。次打者にも四球を与えた。

 「0点で抑えるのは難しい。最少失点で抑えていこう」。登板前の想定とは裏腹に、この回5安打を浴び、5点を失った。「自分が崩れてしまい、チームに思うようなプレーをさせてあげられなかった」

 昨夏もエースとして甲子園に導いたが、初戦敗退。甲子園初勝利に向けて、制球力と忍耐力を高めて今大会に臨んだ。

 ただ3回戦までは苦戦が続き、悔し涙を流した。「野球の神様の試練」と言い聞かせ、再び決勝にたどり着いた。

 監督の励ましや歓声に背中を押され、二回~四回は無失点。だが、五回2死一塁から追加点を許し、六回に降板した。

 幼い頃に人生初の始球式をした南陽工はあこがれだった。優勝して地元に恩返しをしたかった。

 試合後、唇をかみしめた。「初回だけが本当に悔しくて、ずっと振り返っています」

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