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SPRINGの国籍要件に反対するアクションの参加者はプラカードを掲げたり、「国籍民族関係ない」などと声を上げたりした=2025年7月25日午後5時46分、東京都千代田区、関口佳代子撮影

 大学院の博士課程の学生に、生活費を支給する支援制度について、留学生を対象から除外する制度変更が30日、文部科学省の有識者会議で大筋了承される見通しだ。年最大240万円の支援がなくなることに、当事者の留学生や大学関係者からは懸念を抱く声が寄せられている。文科省は「制度の創設段階から留学生支援を目的としていない」と説明するが、「日本人ファースト」の政策への変更にとられかねない。

 支援制度は「次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)」。2021年度に始まり、生活費と研究費を合わせ年間最大290万円、博士課程の3~4年間支給する。

 受給者は24年度、国内80大学の1万564人。日本人が6割、留学生が4割。留学生のうち最多は中国人で3151人だった。

 現状は設けていない受給者の国籍の要件について文科省は6月、最大240万円となる生活費部分の支給を、留学生は対象外とする変更案を示した。変更は27年度からで、平均で40万円程度の研究活動支援は引き続き留学生にも支給するとしている。

 これに対して、当事者の留学生らからは不安の声が上がる。

 「文科省、差別するな」「Education for Everyone(全ての人に教育を)」

 7月25日に東京都千代田区の文科省庁舎前であった制度変更への抗議活動では、大学院生など約70人が声を上げた。

「差別は研究の質も損なう」

 マイクを握った会社員(30)は海外にルーツのある両親を持ち、日本と英国の大学で修士号を取得した。留学生同士で助け合ったことなどをあげ、「生まれる場所、属性は選べない。出自で排除していては研究の質も損なう。排除によって守られる国益は存在しない」

 24年からSPRINGの支…

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