25日に94歳で死去した篠田正浩監督は、芸術映画から娯楽大作まで多彩な作品を手がけた。晩年の篠田監督と対話を重ねた朝日新聞編集委員が、監督の人柄や、「振れ幅も大きい」という監督作について記した。
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- 映画監督の篠田正浩さん死去 「乾いた湖」「瀬戸内少年野球団」
晩年の篠田正浩さんの住まいに通い、話を聞く機会に恵まれた。もちろん映画の話題から始まるのだが、歴史や民俗、思想、芸術とテーマが次々展開していくのが常だった。そして、いつのまにか映画に戻っているのだった。
そんなあふれんばかりの博識が、多彩なジャンルの才能を自作に集めることになった。松竹ヌーベルバーグの一角を担う契機となった監督第2作「乾いた湖」で寺山修司を脚本に起用。松竹退社後の第1作「処刑の島」は石原慎太郎が脚本だ。
代表作「心中天網島」では…