遊牧民から北海道の獣医師へ。モンゴル出身のアブガンドロージン・アバラゼデさん(65)が手がける牧場にはめずらしい設備がある。
北海道美瑛町。エスコンフィールド50個分、260ヘクタールの「ファームズ千代田」で乳牛と肉牛3千頭ほどを飼育している。
特徴的なのは、人工授精所を併設していることだ。繁殖から出荷まで、一貫生産している。
例えば、母牛に双子の受精卵を入れる。限られた数の母牛から、より多くの子牛を産ませる工夫だ。
ジャージー牛に、黒毛和牛の受精卵で出産させる。生後1カ月の子牛の値段は、ジャージー牛では5千円程度だが、黒毛和牛だと60倍の30万円ほどで売れる。
「生産者がもうかる仕組みにしたい」。アブガンドロージンさんの願いだ。
信じた「日が出るところに行くと良い」
日本の畜産改革に乗り出したきっかけは、占いだった。
モンゴル北部で生まれた。雪…