第97回米アカデミー賞の長編ドキュメンタリー部門を、パレスチナ人の苦悩を描いた「ノー・アザー・ランド 故郷は他にない」が受賞した。2日の授賞式では、受賞者から紛争や人種差別に反対する声が相次いだ。
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「ノー・アザー・ランド」は、イスラエルの占領下にあるパレスチナ自治区ヨルダン川西岸に住むパレスチナ人の苦悩を描いた作品。イスラエル軍がブルドーザーで家や学校を破壊し、住民たちが家を追われる映像が収められている。
子どもの頃からこうした迫害を経験してきたパレスチナ人活動家バーセル・アドラー氏と、現地を取材するイスラエル人ジャーナリスト、ユヴァル・アブラハーム氏が親交を温め、現状を記録する様子が描かれている。
最近父親になったというアドラー氏は授賞式で「常に暴力を恐れている私のような人生を、娘が送る必要がないことを祈っている」としたうえで、「不当な行為を止める真剣な行動を世界に求める」と訴えた。
続いて、アブラハーム氏が「政治的な解決という、違う道筋があるはずだ。だが、この国(米国)の外交がその道筋を妨げる手助けをしている」と話すと、会場から大きな拍手がわいた。
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この作品はニューヨーク映画…