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Re:Ron(リロン)編集部から

 「子どもを守れ」。実に普通の言葉ですが、SNSなどで使われると、わかる人にはわかる差別的な意味を帯びることがあります。そうした言葉は、人間には聴こえないけれど犬には聴こえる笛に例えて「犬笛」とも呼ばれています。

 この「犬笛」について、哲学者の三木那由他さんが、連載「ことばをほどく」で考察しています。

 犬笛が使われた時、それに気づいた「聴こえる人」の中にも、隠れたメッセージを批判する人はいます。しかし、特殊な言葉遣いではないが故に、発言者は「そんなメッセージはない」などと、とぼけることが可能です。すると、事情に詳しくない多くの人は「一部の人は気にしすぎるが、実際には害のない言葉」と受け止め、広まってしまうかもしれません。

 そんな犬笛の影響を、どう防いでいけばいいのか。三木さんは、犬笛とは知らずに反復されていることもあるため、使った人の意図の問題にして批判するのは「効果的ではなさそう」といいます。かわりに「実際にその言葉がどういった効果を及ぼしているのか、これまでどういった人々がどういった文脈で使ってきたのか」を「語る」ことが重要と指摘します。

 ちなみに「子どもを守れ」は、「一部の人々にとっては『子どもがLGBTQ+に関する情報に触れないようにしろ』というメッセージを伴っている」(三木さん)。

 危うい言葉にどう対処すればいいのか。連載「ことばをほどく」は問いかけます。あなたの「犬笛」センサーも動き始めたのではないでしょうか。

  • 【三木那由他さんの記事はこちら】「女さん」「子どもを守れ」…〝犬笛〟が飛び交う社会で生きるには

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