排水のため、水たまりにホースを設置するロボット=2025年7月10日午後4時1分、福岡市の九州大学伊都キャンパス、佐々木凌撮影

 自然災害が発生すると、多くの作業員が危険を冒してでも復旧作業に当たる。ロボットに作業を担わせることで、安全かつより迅速な復旧が実現できないか――。実現に向け、九州大学で実証実験が行われた。

 筑波大の永谷圭司教授(ロボット工学)が主導し、東京大、九大などの大学や熊谷組などの企業が参加するチームは、「河道閉塞(へいそく)」をターゲットに研究開発を進めている。

 地すべりや崖崩れなどで流された土砂が川をふさいで水の流れをせき止め、天然のダムのようになる現象のことだ。

災害復旧にロボットを活用するプロジェクトを主導する永谷圭司教授=2025年7月10日午後3時59分、福岡市の九州大学伊都キャンパス、佐々木凌撮影

 放置すると、水位が上昇して上流の地域が浸水したり、ダムが崩壊して下流で大規模な土石流が発生したりするおそれがあるため、素早くポンプで排水したり水路となる溝を掘削したりする工事が必要となる。

 だが、こうした作業中に地盤が緩んで崩れる恐れもある。「本当は人が入ってはいけない危険な場所で、緊急事態だからと対応しているのが現状」(永谷教授)だ。

 主に山間部で発生するため情報の収集や大型重機の搬入も難しい。

人類が月を目指したような研究に投資

 そこでチームは、ヘリコプタ…

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