敵から身を守るか、子孫を残すか――。究極の選択を迫られたとき、動物はどっちを選ぶのか。琉球大学農学部協力研究員の日室千尋さん(昆虫生態学)らのチームは、アリモドキゾウムシという昆虫を観察し、その生存戦略に迫った。
アリモドキゾウムシは、体長約6ミリで、クモに襲われたり、鳥についばまれたりすると触角を折りたたみ、硬直して「死んだふり」をして身を守ろうとすることが知られている。日室さんは、死んだふりをしたアリモドキゾウムシのオスとメスそれぞれ20匹に、別の個体を近づけたら目覚めるまでの時間はどう変わるのか、1匹ずつ実験をした。
ピンセットで挟んで死んだふりをさせたアリモドキゾウムシのオスを容器にいれると、何もしない場合、10分以内に半数は目覚めるが、残り半数は20分以上も死んだふりを続けた。2時間ほどたってようやく動き出すものもいた。
ただ、死んだふりをしたオス…