Smiley face
死亡事故があった第4種踏切を行き来する人=2024年4月22日午後、佐賀県小城市、池田良撮影
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版
  • 写真・図版

 田畑に囲まれた佐賀県小城市のJR唐津線の「二十の坪踏切道」。直線の線路と交差する幅2メートルの農道には、「とまれみよ」の標識はあるが、遮断機や警報機はない。ガタガタという音とともに、「ファーン」と警笛が響き、2両編成のディーゼル列車が通り過ぎた。

 この踏切で昨年7月2日夕方、ジョギング中とみられる近くの男性(当時52)が列車にはねられ、亡くなった。

 国の運輸安全委員会の調査報告書によると、運転士は聞き取りに対し、35メートル手前で男性に気づいて警笛を鳴らし、非常ブレーキをかけたが、男性は左右を見ることなく、前を向いたまま踏切に入ってきた、と話している。

 男性はイヤホンを着けていたとみられる。何かを聞いていたのかどうか、報告書には触れられていないが、「列車の接近に気付いていなかった可能性が考えられる」と分析している。

 踏切近くの田んぼで作業をしていた男性(59)は、事故直後の現場をみながら、苦い出来事が脳裏をよぎったという。

 15年前、軽トラックでこの踏切を渡る際、左右を確認しなかった。渡りきったところで、線路の方に目を向けると、200メートルほど先に列車が止まっていた。JRから聞き取りなどを受けなかったが、自分が列車を止めてしまったと思っている。「考えごとをしていた。一歩間違えれば命を落としていたかもしれない」

 踏切を使うのはほとんど近隣住民だ。小城市の飯盛孝幸・都市計画課長は「地元から遮断機か警報機を備える踏切の整備を求める声がある」と指摘。近くに畑をもつ男性(71)も「JRが責任をもって対応すべきだ」と訴える。

■JRは廃止意向、住民は存続求める

 だが、遮断機を備えた第1種踏切に切り替えるには、1500万~3千万円程度かかるため、JR九州は廃止したいと考えている。ただ、住民の理解を得られないと廃止できないのが実情だ。担当者も「沿線にお住まいの方々の意向は重要」と話す。

 JR九州は事故直後、この踏…

共有