(左から)橋本匡市、福本年雄、杉山晴佳

 すぐ手に届く。でも気づいた時には、手放せない――。アルコール依存症をテーマにした舞台「あなたのとなりに」が、大阪・心斎橋のウイングフィールドで上演される。劇作家が当事者らに取材を重ね、様々な視点から病に向き合う人の姿を描く。

 大阪現代舞台芸術協会が主催。心の問題を抱える人や医療・福祉従事者らでつくる「こころネットKANSAI」のコーディネートのもと、3人の劇作家が当事者や専門家に話を聞き、それぞれ短編戯曲を書き上げた。3作品をオムニバス形式で上演する。

 企画者のひとりは、ウイングフィールド代表で「こころネットKANSAI」理事でもある福本年雄。自身もアルコール依存症になった経験から、2004年から生きづらさをテーマにした公演やワークショップに携わる。

 仕事の疲れや日常のストレスをまひさせるために手にしたお酒。数年かけて量が増え、「やめたくてもやめられない」状況になっていたという。「患者自身が病気を認めたがらない『否認の病』だが、誰もが陥りやすい落とし穴でもある」

 友人に打ち明けたことがきっ…

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