アイヌ民族の集団に固有の権利(先住権)として、北海道浦幌町のアイヌ団体「ラポロアイヌネイション」が地元の浦幌十勝川で自由にサケ漁をする権利の確認などを求めた訴訟の判決が18日、札幌地裁である。最前線で闘ってきた差間(さしま)正樹会長は道半ばで死去。遺志を継いだおいの啓全(ひろまさ)さん(57)は今、なにを思うのか。
- アイヌ民族の「先住権」 初の判決へ背景と争点
啓全さんが自らのルーツを知ったのは、20歳を過ぎてからだった。アイヌ民族としての活動に熱を帯びていく叔父・正樹さんの姿を見て、「俺もアイヌだったんだ」と気付く。
地元のアイヌ団体では、アイヌ民族の墓から研究目的で収集され、北海道大学で保管されていた遺骨の返還を求めて裁判を闘っていた。啓全さんも入会したが、活動にはほとんど参加していなかった。
2016年、他の地域のアイヌ民族に対し、一足早く遺骨の返還が実現。正樹さんに誘われてカムイノミ(神に祈る儀式)に参加したが、初めての啓全さんには作法がわからない。
「俺らの団体でも遺骨返還の裁判を起こしてたから、これはまずいぞって」
仕事の合間に文化を学んで準…