「卵子の老化」を強調した啓発冊子、卵子の量の目安を測る検査……。少子化対策として進められる自治体の政策が、批判を受けたり、見直しを迫られたりする事態が続いている。何が問題になっているのか。
秋田市のフリージャーナリスト、三浦美和子さん(49)は、「将来、ママにパパになりたいあなたへ」という題がついた冊子を見て驚いた。冊子は秋田県が2020年度から23年度にかけて高校生を中心に配ったもので、「卵子の老化」を強調したイラストや文言がちりばめられていた。
20歳のときは「バリバリキャリアウーマンよ」と胸を張っていた女性が、35歳になると「不妊治療始めようかな」「えっ、手遅れ⁉」と戸惑った表情になる。すると、しわが寄った年老いた卵子に、精子が「熟女キラーです」と歩み寄っていく――。男性には「脱草食化」を勧め、ライオンのイラストが添えられている。あちこちに違和感を覚える表現があった。
今年1月、三浦さんは「女の人生は、卵子中心に動くのか?」という見出しのウェブ記事で問題提起した。「矛盾だらけ。学校では、妊娠の経過は取り扱わないのに『妊娠のための健康』は教えている」と指摘すると、SNSで「女なら産んで当然、といわれているようだ」「国による女性の体の管理」などの反響があった。
冊子は県が一般社団法人・日本家族計画協会から購入し、計3万3700部配られた。協会によると冊子は13年に発行されたもので現在絶版になっているという。
配布した県保健・疾病対策課は、朝日新聞の取材に対し、「色々な受け止めがあることは配慮したい」と答えた。
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