首都圏向けの発電に使われた原発の使用済み核燃料が26日、青森県むつ市の中間貯蔵施設に運び込まれた。燃料が到着した港は、かつて放射線漏れを起こした原子力船「むつ」を受け入れた因縁もある。地元に原子力関連施設の集積が進む中、反対を訴え続ける人たちもいる。
「この場所でやらなきゃ意味がないんだ」
使用済み核燃料が陸揚げされた関根浜港の近くの高台で、弘前市の道祖土(さいど)正則さん(74)は搬入反対の声をあげた。
市民団体「弘前核に反対する会」の代表で、高台には、日本初の原子力船「むつ」と因縁がある「浜の家」と呼ばれる築38年の木造平屋建てがある。
1974年に洋上で放射線漏れを起こした「むつ」は、当初の母港だったむつ市中心部の大湊港への帰港を拒まれた。各地をさまよった末、88年に新設された関根浜港へ行き着き、その際、抗議拠点となったのが「浜の家」だ。
漁船に取り囲まれた「むつ」
当時、道祖土さんらは高台から断崖に伝うロープを使って砂浜に下り、約200メートル先の「むつ」に向かってシュプレヒコールを繰り返した。古タイヤを燃やし、抗議の意思を示したこともあったという。
「むつ」は洋上試験や実験航…