瀬戸内海に浮かぶ豊島(てしま)(香川県土庄町)で起きた国内最大規模の産業廃棄物不法投棄事件をきっかけに活動を始めたNPO法人「瀬戸内オリーブ基金」が、今年で25年を迎える。

 島内に約1千本のオリーブの木を植樹することから始まった活動は、多くの企業がサポーターとして協力し、瀬戸内海周辺の環境を守る取り組みに広がっている。

  • 産廃と闘った住民運動の成功と後悔 共通目標を達成するとバラバラに

 甲子園球場の約7倍の広大な空き地に「豊島のこころ資料館」の看板が掛かった木造2階建てが立つ。今年4月、豊島の西端にある産廃不法投棄の跡地を、大手住宅メーカー大和ハウス工業(大阪市)の社員3人が初めて訪れた。廃棄物対策豊島住民会議の安岐正三さん(74)が案内役を務めた。

産廃の断面標本を見学する大和ハウス工業の社員。廃棄物対策豊島住民会議の安岐正三さん(右から2人目)が案内した=2025年4月21日、香川県土庄町豊島家浦、瀬戸内オリーブ基金提供

 一帯では、地下水の汚染が今も続く。もとは産廃業者の事務所だったという資料館には、後世に教訓を伝えるために、産廃の断面を切り取って樹脂で固めた標本(高さ約3メートル)が展示されている。

 同社は「サステナビリティ経営」を掲げて奈良・吉野山の桜の保全活動などに取り組み、今年から基金の法人サポーター(協賛会員)になった。

安藤忠雄、中坊公平両氏の呼びかけで誕生

 見学会に参加した川島英彦・…

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