広島市は16日、平和記念公園にある原爆供養塔の地下納骨室を報道各社に公開した。名前のわからない約7万柱の遺骨のほか、名前がわかっていながら遺族の見つからない遺骨も812柱安置されている。公開は10年ぶりで、市の担当者は「遺族がみつかるきっかけになれば」と話している。
供養塔のある場所はもともとは寺の境内で、原爆投下後に多くの死者が火葬された。現在の供養塔は1955年に市が中心となって整備した。納骨室は高さ2メートルで面積27平方メートル。中央に祭壇があり、周囲の棚に遺骨が安置されている。名前のわからない遺骨は木箱などに納められ、名前のわかる遺骨は骨つぼに入れられている。
名前のわかる2437柱の遺骨のうち、これまでに1625柱の遺族がわかった。1002柱が遺族に引き渡され、623柱は遺族の意向で供養塔に永久安置されている。この10年では、今年新たにわかった1柱を含めて6柱の遺族が判明している。
市は68年から納骨された人の名簿を公開しており、85年から全国に発送。市のホームページでも参照できる。問い合わせは市原爆被害対策部調査課(082・504・2191)。
【パノラマ】10年ぶりに公開された原爆供養塔の納骨室=上田潤撮影