国際平和シンポジウム「核兵器廃絶への道~戦後80年、未来へつむぐ~」(主催:広島市、広島平和文化センター、朝日新聞社)が2日、広島市中区の広島国際会議場で開かれた。
核兵器の保有や使用を禁じる核兵器禁止条約の第1回締約国会議(2022年)で議長を務めたオーストリア外務省軍縮局長のアレクサンダー・クメントさんが、基調講演をした。クメントさんは、被爆者の証言を聞いたことが、自身が核軍縮に取り組む下地になったことを紹介。「核兵器を理解するには、使われた時に実際に起こることに向き合うしかない。被爆者と、核実験の被害者の証言が必要不可欠だ」と語った。
【動画】国際平和シンポジウム2025 第一部
続くパネル討論では、昨年のノーベル平和賞を受賞した日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)事務局次長で、1歳10カ月の時に長崎で被爆した和田征子(まさこ)さんが母から聞いた被爆後の惨状を語った。また、核兵器禁止条約について「暗闇に光が差し込んだような条約であり、大事に育てていかなければならない」と述べた。
特別トークには、祖母と母が被爆した、松山バレエ団理事長・団長の森下洋子さんが登壇した。海外公演で広島出身だと紹介すると驚かれ、「バレエを通じて何を伝えるかを考えるようになった」という。「バレエで愛や希望を届け、社会が平和に近づく力になれたら」と語った。
トークセッション「キノコ雲の上と下から」では、広島、長崎に原爆を投下した米軍の両爆撃機に祖父が搭乗したアリ・ビーザーさんと、広島、長崎で「二重被爆」した祖父の体験継承に取り組む原田小鈴さんらが参加し、原爆投下をめぐる謝罪と和解などについて話し合った。
広島出身で被爆3世のピアニスト萩原麻未さんによる被爆ピアノの演奏もあった。
【動画】国際平和シンポジウムで被爆ピアノを演奏する、被爆3世のピアニスト萩原麻未さん