福島季評 安東量子さん
地方から、女性が消えていっているという。進学・就職期に、男性よりも多くの女性が地方から大都市へ転出する。福島もその例外ではない。というよりも、女性流出がもっとも顕著な地域という方が正確だ。いわく、15~24歳女性の転出超過数は、2023年までの10年間に全国最多を2度記録、県内の20~34歳の未婚者は、男性が女性の1.35倍で全国一など、さながら国内屈指の「女性流出どころ」だ。
これにも原発事故が関係しているのでは、と思う人もいるかもしれない。結論からいうと、関係するともいえるし、関係ないともいえる。というのはその背景には、もともと福島がかかえていた問題が存在するからだ。
そもそも、福島県の女性の流出は、ここ最近に始まったものではない。戦後から1990年頃まで、福島では一貫して、生産年齢世代の女性人口が、圧倒的に男性を上回っていた。それが、94年を境に逆転、男性が上回るようになる。今から30年以上前の話だ。背景には、原発の誘致をはじめとする産業・社会構造の大きな転換があった。それから現在に至るまで、この世代で女性は男性よりも少なく、近年では、その差が広がっていた。
今から14年前には、原発事…