原発から出る廃棄物のうち、放射性物質の汚染レベルが極めて低い「クリアランス物」と呼ばれる金属のリサイクル会社を、福井県が今夏、関西電力などと共同で設立する。県内の各原発から廃棄物を集める構想で、国内初の試みだ。早ければ2028年ごろに操業を開始し、20年間で約50億円の利益を見込む。
「原発銀座」といわれる県内では原発7基が稼働する一方、関電と日本原子力発電、日本原子力研究開発機構の7基の廃炉が決まっている。膨大な廃棄物が見込まれ、減量化が課題となっている。
廃炉作業で出る廃棄物は汚染レベルに応じて分類する。「人の健康に対する影響を無視できるレベル」であると原子力規制委員会が確認したものはクリアランス物と呼ばれ、一般の産業廃棄物として処理できる。
新会社は、複数の原発から廃棄物を収集して「集中処理」をするという。クリアランスと推定される廃棄物を集めた上で、分別・除染・切断。溶融した後に放射能を測定し、評価することになる。県によると、電力事業者がそれぞれで行っている作業を集中させ、効率化を図れるという。
施設の建設候補地は、関電美浜原発や原電敦賀原発などが立地する敦賀半島の敦賀市浦底。敷地は約2万6千平方メートルで、設備投資の総額は約220億円という。新会社には県や嶺南6市町、関電、日本原電などが計20億円を出資。銀行から借り入れる200億円を合わせて設立費用をまかなう計画だ。
新会社は、20人体制で操業開始の想定で、関電や日本原電は専門人材の派遣を決めている。収集や分別、除染などの現場業務を地元企業に発注し、約30人の規模の参加を見込んでいる。
地元企業も上流に
原発をめぐる業務は、電力会社を頂点にした多重下請けが一般的だ。県は廃炉ビジネスの育成目的に「2次下請け以下だった地元企業が、新会社の元請けに近い立場で業務を受注できるようにする」と掲げる。
1965年に創業し、原発の関連工事で実績を積む藤沢事業(敦賀市)の丸岡樹善取締役(54)は「この業界はカテゴリーが決まっていて上にいくことができない」と話す。「県が新しいビジネスを立ち上げ、地域の中小が元請けでチャレンジできる。自分たちにとっても新しい誇りとパワーになる」と語る。
県によると、新会社は電力事…