極めて例外的だったはずの原発の60年運転が、規制当局に一度も阻まれることなく、すべての申請が認められた。世界最悪クラスの事故を教訓とした運転期間のルールはなし崩しになり、老朽原発に頼る状況が続く。
「2045年に責任とれる人、いるんですか」
29日午前に開かれた原子力規制員会の定例会。高浜3、4号機の2045年までの運転認可を委員5人の全会一致で決めると、傍聴席から「45年まで、みなさん現役なんですか」「責任とれる人、いるんですか」と声があがった。
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原発の運転期間を「原則40年」と決めたのは、2011年3月の東京電力福島第一原発事故がきっかけだ。
国内で、原発活用への反対世論が強まる中、当時の民主党政権は、翌年、米国などを参考に原発の運転期間を原則40年と定める法改正をした。期間を区切ることで「脱原発」を進めるねらいがあった。
一方で、原発再稼働のメドがつかないなかで40年を過ぎた原発を次々と廃炉にしていけば、移行期間の電力供給に不安が生じる恐れがある。そのため、規制委が認めれば60年まで運転を延ばせることにした。政府は「極めて例外的」と強調し、当時の田中俊一・規制委員長も就任当時の会見で「(延長は)相当困難」と語っていた。
ところが、結果的には延長を申請した4原発8基がすべて1年程度の審査を経て認可された。なぜなのか。
規制委、電力会社に配慮したケースも
電力会社が延長の認可を受け…