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第107回全国高校野球選手権岐阜大会 中京-大垣北 大垣北の主将としてチームをリードし続けた鹿野楓斗捕手=2025年7月23日、ぎふしん長良川、前島慶太郎撮影
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 (23日、第107回全国高校野球選手権岐阜大会準々決勝 中京4―1大垣北)

 新チームになり、昨年の秋季県大会は1回戦で敗退。今春は地区予選こそ勝てたものの、県大会ではやはり1回戦敗退。そんなノーシードの公立校が今大会は8強まで進み、強豪・中京相手に善戦した。

 「普通にやって勝てる相手じゃない」。大垣北の鹿野楓斗捕手(主将・3年)は試合前から「厳しいコースを突いていく」ことを投手たちに徹底した。

 その分、一回に先発の江口晴彦投手(3年)が2人目の打者に四球。2失点後に四回から代わったエースの坪真都投手(3年)も四、五回に3四球を出すなどしたが、近藤健二監督も「リスクを承知で厳しいところを突かせた」という。

 それでも、強力な中京打線からは11安打を浴びたが、坪投手は6三振を奪って度々ピンチを救うなど、相手を合計4点に抑えた。

 最速149キロの坪投手。厳しいコースに投げさせれば、捕手のキャッチングミスのリスクも高まる。鹿野捕手は坪投手の速球を受けるために毎朝一人、早く登校してピッチングマシンの球を受ける練習を続けてきた。

 緊迫したこの試合を捕逸なしで乗り切り、近藤監督は「非常にプレッシャーのかかる試合だったと思う」と思いやった。

 試合後、「江口も坪も絶好調だった。今までで一番良かった。自分の出来は80点かな…」と振り返った鹿野捕手。うっすらとまつげに残っていた涙は消えて、さわやかな笑顔を見せた。

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