朝日杯本戦で初手合の藤井聡太名人・竜王(左)を破った服部慎一郎七段=2025年1月19日午後、名古屋市、北野新太撮影

■杉本昌隆八段の棋道愛楽

 私たち棋士は、自分の対局を中心に日々を過ごしています。その1週間前、いや10日前、順位戦のリーグ戦であれば数カ月前から準備を始めるのは、よくあることです。事前の研究に終わりやゴールはなく、するべきことはいくらでもあります。

 半面、対局が終わると安心して、放心状態にもなります。これは私たちベテラン世代に多いのですが、対局の翌日は完全に休みにする場合もあります。そうしないと身体が持たないからです。

 さすがに午後からですが、対局翌日でもいつも通り研究会にいそしむ若手もいます。棋士の過ごし方も、それぞれです。

同じ会場に違う立場で

 一般的に、解説や指導の仕事は対局前には受けにくいもの。その分、対局後の仕事ならありがたく受けます。勝負を忘れられて、一種の気分転換にもなります。私は7月29日に名古屋将棋対局場で対局、翌日の30日には同じ会場で解説をする仕事がありました。

 対局はC級1組の順位戦で…

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