静岡県富士市の鈴川エネルギーセンターの木質バイオマス発電所が昨年12月3日、運用を停止した。出力8万5400キロワットと国内有数の規模で、約19万世帯分の電気をつくっていた。負債総額は約535億円(昨年3月期末)に上る。燃料輸入元の米エンビバ社の破綻(はたん)と燃料調達コストの上昇が影響したとみられている。
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世界最大の木質ペレット製造会社だったエンビバ社は昨年3月、資金繰りの悪化から連邦破産法11条を申請、民事再生手続きに入った。その影響もあって、ペレット価格は急騰している。2020年ごろまで1キロあたり20円程度で推移してきた輸入価格は、22年以降30円前後になっている。発電所も、年間34万トンのペレットを輸入していた。
エンビバ社のペレット工場では、騒音や粉じんなど周辺住民との環境問題や不平等な雇用をめぐる社会的問題などが相次いだ。米大気浄化法違反などでこれまでに何度も罰金を科されている。
発電所には、三菱商事の子会社が7割、日本製紙が2割、中部電力が1割を出資している。運用停止について、三菱商事は「外部環境変化を受け事業計画を精査するためだ。詳細については回答を控える」とするが、エンビバ社と取引している日本の大手商社は、住友商事や丸紅などほかにも多い。輸入木質ペレットを使う発電所の経営状況が厳しいのは、どこも同じだ。
23年の木質ペレットの輸入…