参院選が始まった。与野党幹部の取材を受け持つ政治記者は、17日間の選挙期間中、担当する政治家の遊説を追いかけて全国各地を転々とする日々を過ごす。
私にとっては、自民党幹事長担当として関わった2016年の参院選がそうだった。当時の幹事長は谷垣禎一氏。政権与党の幹事長ともなれば、連日、相当に詰め込んだ日程が組まれる。一つの街頭演説を取材すると、息つく間もなく次の会場へ。特急列車の本数が少ない秋田から青森への移動では、予定の電車に乗り遅れそうになって冷や汗をかいた。毎日、気づけばどこかの県境を越えている。月並みだが、「日本は狭いようで広いんだな」とつくづく思った。
このときの参院選で初めて導…