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パチンコ店「デルパラ」の外観。運営会社幹部は、パチンコ業界の組織内候補に投票する見返りに報酬を約束していた疑いが持たれている=2025年8月5日、東京都あきる野市小川東1丁目、西岡矩毅撮影

 7月の参院選比例区に立候補した自民党公認の候補者へ投票する見返りに報酬の支払いを約束したとして、警視庁と7県警の合同捜査本部は26日、パチンコ店運営会社「デルパラ」(東京都港区)社長の山本昌範(本名・李昌範)容疑者(50)=韓国籍=ら同社幹部6人を公職選挙法違反(買収約束)の疑いで逮捕した。捜査関係者への取材でわかった。

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 容疑者らが支援したとされるのは「全日本遊技事業協同組合連合会」理事長の阿部恭久氏(66)。売り上げが下がり、苦境に立つパチンコ業界が代表者として擁立した組織内候補だった。参院選では約8万8千票を得たが比例の自民候補31人中20位で落選した。

 捜査関係者によると、山本容疑者らはデルパラが運営するパチンコ店の店長らと共謀して7月上旬~中旬、従業員やアルバイト計60人に対し、阿部氏に投票する見返りに現金3千~4千円を渡すと約束した疑いがある。捜査本部は、各店長を通じて呼びかけられ、実際に投票した従業員らは約250人に上るとみている。応じた側も公選法違反容疑に問われ、今回の買収事件での摘発人数は280人前後になるとみられるといい、平成以降の国政選挙で最大の検挙人数になる見通しだ。

オンライン会議で指示か

 捜査関係者への取材によると、一部の容疑者らが7月2~3日、同社のオンライン会議で各店長に対し、従業員らに阿部氏に投票させるよう指示。これを受けて店長は、投票所へ行った従業員に阿部氏の名前を書いた投票用紙を写真撮影させるなどして、本社側に状況を報告していたという。報酬を実際に受け取った従業員は確認されていない。

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 捜査本部は、同社側と阿部陣営の関係性を慎重に調べるとともに、同社幹部らが従業員に投票を呼びかけるに至った背景についても捜査する方針だ。

 民間調査会社などによると、デルパラは2007年設立で、茨城、埼玉、東京、神奈川、鳥取、岡山、山口、鹿児島の1都7県で31店を展開する。今年1月に同業の「モリナガ」(鹿児島市)を買収する前の24年7月期の売上高は、約694億8千万円。

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