参院選で、外国人政策が注目の争点として浮上しています。日本とは状況は異なりますが、欧米の選挙では最近、外国人を警戒する風潮が広がり、特に移民や難民の人たちに対する厳格な姿勢が一定の支持を集めました。背景には、どんな事情があるのでしょうか。
復権の大統領選、トランプ氏の戦略
移民に仕事が奪われる。貴重な税金を移民のために使うのはおかしい。移民の増加は治安を悪化させる――。
米国では国民の間にうずまく不満や不安をすくい取るように、トランプ大統領が一貫して移民に厳しい態度で支持を集めてきた。
復権を決めた昨年の大統領選でも、その傾向は顕著だった。トランプ陣営は、移民の急増を招いたバイデン政権(当時)が「移民に甘い」というイメージを定着させることに成功し、これが当選の一因にもなった。
背景には、バイデン政権の寛容な政策に期待して南部のメキシコ国境を越える移民が急増し、国境地域や大都市圏では行政サービスが逼迫(ひっぱく)するなど、受け入れ態勢の限界があらわになった現実がある。
米国は「移民の国」とも呼ばれ、むしろ移民の受け入れによって国力を高めてきた歴史を持つ。だが超大国としての立場に陰りが出て、国民の経済格差も広がり続ける。不満の矛先が、移民に向いているのが近年の状況だ。
「自分たちは差別主義者ではない」
トランプ氏は移民を「犯罪者…