俳優の広末涼子さんが「双極性感情障害」などと診断されたとして、芸能活動を休止すると発表した。双極性障害(双極性感情障害、双極症)はどんな病気で、どう治療するのか。第一人者の加藤忠史・順天堂大教授(精神医学)が、「理解が広がって受診につながってほしい」との思いから解説してくれた。
双極性障害(双極症) どんな病気?
――以前は「躁(そう)うつ病」とも呼ばれた双極性障害は、治療方法はあるのでしょうか。
私はよく「コントロールできる病気ですから、薬を飲み続けて定期的に受診してくれればいいです。高血圧で薬を飲むのと同じですよ」と話します。治療しながら働いている人は、たくさんいます。
――どんな病気ですか。
「うつ状態」と、「躁(そう)状態」「軽躁(けいそう)状態」を繰り返すのが特徴です。国内で受診しているだけでも数十万人いるとされます。発症年齢は20歳前後が多いです。
最近では、「障害」という表現ではなく、「双極症」と言うことが多いです。(WHOの国際疾病分類の最新版である)「ICD-11」の呼び方です。
うつ病との違いに注意
――うつ病との違いは?
うつ状態の間は、うつ病とほぼ区別できません。一日中、毎日毎日、嫌な気分で、自分が一番好きなことにも興味が持てないという状態が2週間以上続きます。
違いは、軽躁状態・躁状態があるかどうか。これが見逃され、うつ病と診断されてしまうことがよくありますが、治療方法は異なります。うつ病のための抗うつ薬を双極症の人が飲むと、気分が不安定になってしまうことがあります。
「躁」に気づければ
――「軽躁状態」の目安は?
一日中、毎日毎日、理由もな…