「いぬふぐり」という反戦歌は、今年5月31日、急性呼吸不全のために93歳で死去したすずきみちこ(本名・阿部美智子)さんが大学生だった約70年前に作詞作曲した。その歌は、自由と平和を求める運動に乗って広がり、歌い継がれた。
「丘はいまもしばやま いぬふぐりも咲いている」と始まる歌は、丘を一緒に登った「くにさん」が戦争に行き、「口もきかずに死んだ」と続く。「戦争が起こらんようにする」の言葉でしめくくる。
6人姉妹の5女として生まれた千葉県の村には、小さな青い花をつけるイヌフグリが群生していた。
歌に出てくる「くにさん」にはモデルがいたらしい。映画監督の吉松安弘さんの論文によると、1人は実家の田んぼに働きに来ていた元気な若者で、第2次大戦で出征し、翌年戦死した。
もう1人は、爆撃機で朝鮮戦…