打席に立つ姉崎の矢野=2025年7月11日午後0時23分、県SC、芹沢みなほ撮影

(11日、第107回全国高校野球選手権千葉大会2回戦 昭和学院5―3姉崎)

 「次こそ絶対打つ」

 3点差で迎えた八回表1死一塁、姉崎の矢野宏幸(3年)は内角高めの直球をバットの先でとらえた。「意外と伸びるな」。二塁へ走る間に、主将の遠山掌世(同)がホームイン。相手の暴投などで自らも生還し、1点差に迫った。

 1年の秋、股関節の疲労骨折で約3カ月運動を控えた。2年の4月、1週間高熱が続いた。白血球などが異常に活性化し、発熱やリンパ節の腫れなどが続く「血球貪食(どんしょく)症候群」と診断された。

 ステロイドによる治療が奏功したものの、その後も月に1度ほど発熱を繰り返した。昨夏はベンチ入りはしたが、出場の機会はなかった。

 体調も落ち着き、新チームでは7番を背負った。だが今春の大会のメンバー発表では10番だった。

 もう病気もけがも関係ない。「死ぬ気でバットを振らないと」。その日から、ピッチングマシンを使い、1日数百球の打撃練習を週6で続けた。

 取り返した7番で出場したこの日、鍛えた打撃力を発揮したが、逆転はかなわなかった。「一緒にやってきたみんなには感謝を伝えたい。それでもチームを勝たせられなかった悔しさしかない」と肩を落とした。=県SC

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