(15日、第107回全国高校野球選手権東東京大会、大森学園19―2京華商=5回コールド)
三回表1死二塁で京華商の守備。二回まで無失点に抑えたエースの高橋松純(しょうじゅん)(3年)がこの回、相手の上位打線に連打を浴びた。背番号「10」の双子の兄、佳純(けいじゅん)(同)がリリーフとしてマウンドへ向かう。立ち上がりに捕まり、投じたスライダーを左越えの本塁打にされたが、その後は打者2人で締めた。
まだ小さいころ、気付けば2人だけの言葉「双子語」でよく笑いながら話していた。小学校の校庭へ遊びに行ったとき、練習していた少年野球チームの同級生に誘われ、小学1年で2人そろって野球を始めた。キャッチボールの相手に困ることはなく、休みになると公園に出かけてボールを握った。
野球に打ち込もうと、中学3年で2人で都外の私立高の野球テストを受けた。結果は佳純のみが通過。「俺は松純がいるから投げられる。ずっと2人でひとつだったし、これからも一緒に野球をしたい」。進学を辞退した佳純に迷いはなかった。
昨秋の都大会でエース番号をもらったのは佳純だった。だが3月、練習中のダッシュで右足の筋肉を断裂。6月下旬に配られた今大会の背番号「1」は、松純が受け継いだ。その日の夜、夕食を食べながら約束したのは松純だった。「俺が佳純の支えとして、佳純が投げやすいように投げるから」
迎えた初戦。松純が先発して佳純ら後続がつなぎ、夏の東東京大会で京華商は9年ぶりに1勝を挙げた。でもこの日は5回コールドに。「思いっきり出し切ったので悔いは無い」と声をそろえる2人。今度は同じ大学への進学を目指し、気持ちを切り替えた。=都営駒沢