天皇陛下をはじめ、皇族方の活動や皇室に関連する出来事を過去にさかのぼって紹介する「皇室365」を始めました。皇室のあり方が問われる中、公務や宮中行事などのトピックを毎週、担当記者が詳しく読み解きます。
■6月14日(1928年)昭和天皇が初の田植え
6月14日(1927年)昭和天皇が初の田植え
1927年のこの日、昭和天皇が赤坂離宮内の水田で田植えをした。皇居での稲作は平成、令和と天皇陛下に受け継がれているが、昭和天皇が即位翌年に始めたものだった。
初の田植えについて、翌6月15日付の朝日新聞朝刊(東京本社版)は「聖上陛下御自らお田植を遊ばさる」の見出しで報じている。かねて「国の大本たる農業」に心を寄せ、実際に農作業にあたりたい意向があったと紹介。運動服姿で「神力」「愛国」「亀の尾」などを植え、側近の謹話として「非常に御満足の御様子」だったと記した。
昭和天皇は生物学者として知られ、陸稲の品質改良の研究も続けた。稲作は、農業の奨励とともに、この研究の意味合いもあったという。1928年に皇居内に研究の拠点となる生物学研究所が作られ、稲作も翌29年から研究所わきの水田で行われるようになった。今も同じ場所で続いている。
上皇さまは即位した1989年から稲作を引き継いだ。昭和天皇は田植えから作業したが、上皇さまは翌90年から、それに先立つ種もみまきも自身で担った。理由を、2009年4月の結婚50年会見で明かした。
皇室の伝統についての質問に際し、「私は昭和天皇から伝わってきたものはほとんど受け継ぎこれを守ってきました」と述べ、古い伝統のある行事はそのままの形を残していくことが大切との見解を示した。その一方で、「田植えのように新しく始められた行事は形よりはそれを行う意義を重視していくことが望ましい」として、田植え、稲刈りに加えて、前年に収穫した種もみをまくことから始めたと明かした。時折、稲の成長を見るため、公務の合間に水田に立ち寄り、退位直前まで稲作の作業を担った。
代替わりを受け、令和になっ…